『無道人之短 無説己之長』

 十人十色と言いますように、人はそれぞれ顔や背格好、性格やものの考え方も千差万別です。

 例えば、普通の茶碗山盛りのご飯があったとして、食べ盛りの青年はそれを「茶碗一杯しかない」と思うでしょうし、体格や食の細い人は「茶碗一杯もある」と思うでしょう。
  また、2キロメートルの道のりを、車を運転する人は「近い」と思うでしょうが、歩く人にとっては「遠い」と感じるでしょう。

 人はそれぞれが持っている、自分だけの判断基準、いわゆる「自分だけのモノサシ」で物事の多少、遠近等を判断しているのです。

 実はこれは物事だけのことではありません。
人は他人のことを自分のモノサシではかり、そこからズレていると短所として、時にそれを非難する事があります。 反対に自分の持っている部分を長所として自慢気に話すことがあります。

 「人の短を道(い)うなかれ 己の長を説くなかれ」
これはお大師様が非常に大切にされた言葉です。

 正しい智慧を持つ人というのは、見識が広く、人の短所を言うこともなく、ましてや自分の長所を話すこともありません。むしろ他を認め、謙虚になるはずです。

 「人の短を道(い)うなかれ 己の長を説くなかれ」 この言葉をよくよく心に刻み、心正しく信仰の毎日を送っていきましょう。

 

2004-3-6